私は深谷ネギに囲まれた埼玉の田舎で育ちました。母方の実家は麹を扱う食品会社で、子供のころから味噌、醤油、漬物などの発酵食品が身近でした。海とは全く無縁だった私は、三陸のサンマ漁師との出会いをきっかけに水産業に問題意識をもつようになり、”世界の食をもっと楽しく”をミッションにフーディソンを創業しました。

エンドユーザーにとって、スーパーでの日々の買い物の選択肢の一つでしかない魚ですが、実は当たり前のように店頭に陳列されるまでに、非常に多くの関係者の間で売買が行われています。

繰り返し行われる売買は権利を持つ市場関係者間で、アナログな手法で行われています。Eコマースでは当たり前である受発注業務の自動化は実現しておらず、深夜にFAXの集計作業が人手によりなされ大きな負荷となっています。アナログで処理された大量の情報は活用されることはなく、多くは紙のまま倉庫に眠っています。

その結果、業務の多くは勘と経験を前提にしています。担い手の高齢化が進み、労働人口が減少するなかで、今の業務負荷や属人的なやり方で持続可能な状態とは言えません。

我々の日常を彩る四季折々の旬の魚が食べられることが、当たり前ではない世界がひょっとしたらもう直前まで来ているのかもしれません。

インターネットの出現により、WEB上でのネットワーク化が進み、そこに様々なソリューションが創造され、エンドユーザーの利便性が飛躍的に向上してきました。世の中はインターネットを活用した第三次産業革命を経て、AIやIoTを活用した第四次産業革命に突入しています。

一方で水産流通を始めとした生鮮流通では、未だ第三次産業革命のメリットすら十分に享受出来ていないのが現状です。

我々は、”生鮮流通に新しい循環を”をビジョンとして、生鮮流通のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するプラットフォームの構築にチャレンジしています。

我々が創り出すプラットフォームで、日常的に生鮮品の情報がオンラインでやり取りされるようになることで、社会に様々な変化を生み出すことになります。

流通関係者を日々の煩雑な業務から開放し、蓄積された受発注情報は見える化され活用可能になり、生産サイドでは末端価格をタイムリーに把握できるようになるでしょう。

都市部と地方産地がインターネットでつながることで、地方市場内の権利者間の売買を繰り返す必要がなくなり、複数の市場を介さずに直接的にやり取りする事が可能になるでしょう。

権利者自体が少なく競りが機能しておらず、相場形成機能が不十分な地方市場がインターネットで都市部とつながることで、世界で最も売買参加者の多いオンライン生鮮市場にて適正価格での相場形成が可能になるでしょう。

情報がつながれば、エンドユーザーに提供される情報がリッチになります。複雑な生鮮品についての知識がなくても、美味しい旬の食材と便利に出会えるようになるでしょう。

プラットフォームが流通関係者との日常的な接点となることで、様々なソリューションが提供されることになります。例えば人材採用のような不定期で発生するニーズに対して、求人広告や人材紹介などのサービスがスムーズに提供されるようになるでしょう。

このように、生産と消費サイド、地方産地と都市部がつながり、情報の非対称が解消されることで、様々なイノベーションが起きることは、インターネットの普及により社会が変革してきた歴史が証明しています。それを生鮮流通で再現するのです。

我々は生鮮流通のDXを推進する、プラットフォーム企業として、社会に貢献し続けます。

代表取締役CEO山本 徹